「何だっていいんですよ。過去も未来も関係ない。どれだけ変質しようと、あなたという存在があれば僕はそれだけでいい」
息も止まるような、永遠まで続くような交歓の後、夢うつつに霞んだ耳元に静かな囁きが落とされて。
半ば眠りに落ちかけたまま、手探りで求めると、指先が長い髪に触れた。
その髪を手繰り寄せるように、まだ熱の去りきっていない胸へと体を寄せる。
すると、落ち着いた鼓動が、耳元へと温かく響いた。
「わしは、おぬしのこの鼓動が在れば、それで良いよ」
そう告げた言葉は、届いたのかどうか。
確かめる間もなく、ただ、強く抱き締められるのを朧気に感じ取って、意識はそのまま、やわらかな波間に沈んだ。
end.
次回、エピローグです。
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