「気…持ち、いい…っ…そこ…っ……あ」
獄寺の熱の先端に突かれる度に、目の裏に星が散るほどに感じる場所がある。
堅く目を閉じたままその感覚を受け止めがら、綱吉はくらりと世界が回るのを感じた。
と、タイミングを見計らったかのように獄寺の動きが浅く緩くなる。
「あ……」
なに、と目を見開く。視線を彷徨わせると、すぐに獄寺の銀翠色の瞳と目が合った。そして、唇を重ねられる。
そんなキスを交わしながらのゆるやかな動きにも、気持ち良さがないわけではない。でも、決定的に足りないものがある。
「……隼人…っ」
つい先程まで満たされいた深い部分にどうにもならない疼きを覚えて、綱吉は獄寺の肩に爪を立てた。
だが、獄寺はすぐには動かない。宥めるように、あるいは焦らすように綱吉の首筋から肩を撫で、胸元に口接けを落とす。
その感覚に、たまらず綱吉は上半身をのけぞらせた。
「や…だ……ねえ…っ」
甘くすすり泣くような声で、先をねだる。そして半ば本能に任せて、獄寺の熱を締め付けた。
もっと動いて欲しい。気持ちよくして達かせて欲しい。
そんな欲が、体の芯から急速に広がる。
そして、焦れるあまり全身がかすかに震え出した頃、熱を帯びた瞳で綱吉を見つめていた獄寺が、ふっと微笑んだ。
「愛してます、綱吉さん……」
甘く囁かれ、しかし綱吉は、答えになってない!、と獄寺の背に思い切り爪を立てる。するとさすがに痛かったのか、獄寺は苦笑した。
「焦らしてすみません」
そう一言詫びて、ぐっと奥まで突き上げる。途端に鋭い快感が押し寄せて、綱吉は甘い悲鳴を上げた。
「ひ、あ…あぁ……っ!」
焦らされた挙句に、激しく揺さぶられてはもう成す術がない。
もう何も考えられずにすすり泣きながら、シーツと獄寺の背に爪を立てる。
「綱吉さん…っ」
繰り返し、愛してますと告げる獄寺の声ももう遠く、言葉にならない喘ぎをとめどなく零しながら、溺れる人のようにただ獄寺にすがりついた。
何度も何度も、獄寺は知り尽くした動きで綱吉の中を擦り上げ、たまらなく感じる場所を突き上げる。
「も…ぅ駄目…っ、だ、め……っ…!」
これ以上されたらおかしくなる、と真っ白になった綱吉の思考の中で、何かが本能的に怯えて訴える。
だが、獄寺はもう容赦してくれなかった。
どろどろに熔けた柔襞を力強い動きでいっそう激しく責め立てる。
「や…あっ、ああああぁ……っ!」
そのまま一気に高みに押し上げられ、綱吉は全身の血液が沸騰するような絶頂感に高い悲鳴を上げた。
一瞬遅れて獄寺の熱い迸りが内に広がるのを感じて、その感覚にたまらず全身をわななかせながら、細くすすり泣く。
爆発的な感覚はすぐに過ぎていったものの、全身の細胞を震わせた余韻は長く尾を引き、指一本さえも動かせない状態でただ互いの荒い呼吸を聞いているうちに、わずかずつながらも鼓動が落ち着いてくる。
少しずつ感覚が戻ってきた綱吉はゆっくりと気だるい目を開け、視線を彷徨わせた。
まず目に入ったのは、乱れ散った銀の髪。そこから続くうなじ。
ぼんやりと少しだけ考え、それならと、そっと頭を動かすと、思った通りに頬が獄寺の頬に触れた。
それに反応して、獄寺も顔を上げる。
目と目が合い、乱れて額に張り付いた前髪を優しくかき上げられ、優しいキスを額、目元、鼻、頬、そして唇に落とされる。その感覚がとても幸せで、綱吉は深く息をつきながら目を閉じた。
だが、耳朶をやわらかく食まれて、思わずびくりと震えが走る。
達したばかりの体はひどく敏感で、まだ全身の神経はぴりぴりとさざめいているのに、そんな悪戯をされたら反応せずにはいられない。
「は、やと……?」
目を開け、問うように名を呼ぶと、獄寺は、未だ獣の鋭さを残した瞳で小さく微笑んだ。
そして、ゆっくりと綱吉の背中を撫でながら、体の向きを変えるように促してくる。
意図が分かるような分からないような、綱吉が戸惑いつつもそれに従い体を反転させると、今度はうなじに口接けを落とされた。
「……腰を上げてもらえますか」
低い囁きに、今度こそ間違いなく綱吉は獄寺の意図を悟る。
だが、ある意味、今夜はまだ一度ずつしか達していないのだから、当然といえば当然だった。
加えて獄寺は、今夜は綱吉をうんと気持ちよくさせる気満々だったのである。
そして綱吉はといえば、たった今、激しく昇り詰めたばかりとはいえ、所詮一度であるから、やはり余力はあった。
そんな、余韻にまだ全身の神経がさざめいているような状態で、艶めいた要求をされれば自然に体が疼き始める。
言われるままに身動きして膝に力を込め、腰を高く上げれば、自分がどんな格好をしているのか、想像するだけでも恥ずかしさに体の奥が震え、疼いた。
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