Twitter SSS log005
新婚さんの朝の風景
「……んー、もう朝かぁ」
「シーズーちゃん、起きてー」
「……う……」
「あーさー」
「……あー」
「起きた?」
「……おう」
「わ、……っ、ん…! ――っ!!」
「……朝から盛るなよっ!///」
「興奮したのか?」
「っ!?///」
「よし、起きるか」
「〜〜シズちゃんの馬鹿っ!!///」
街角いちゃラブ・その1
2011.10.12.
新婚さんの夜の風景
「ただいまー、遅くなってごめん……って、なんでこんなとこで寝てるんだよ」
「俺の腕力じゃ寝室まで運べないって、いつになったら理解してくれるんだろ。四人掛けソファーなのに脚が思いっきりはみ出てるし」
「……よく寝てるよねえ。顔に落書きしてもいいけど、それより……」
「うん、マットレスにはちょっと硬すぎるけど、あったかいし、いーや」
「起きたらベッドまで連れてってよね。おやすみ、シズちゃん」
「ん……なんかぬくいな、ってなんで乗っかってんだよ、こいつ」
「いつ帰ってきたんだか……寝るんならベッド行けよな、ったく」
「……これでよし、俺ももう一度寝るか。おやすみ、臨也」
街角いちゃラブ・その2
2011.10.14.
同棲初日
「おかえり」
玄関を開けるなり、奥から出てきた臨也に言われて内心ひどく驚いた。
「……おぅ、ただいま」
どぎまぎしているのを隠しつつそう返すと、臨也は困ったように笑う。
「なんか変な感じだなぁ。俺とシズちゃんが、ねえ?」
「そうだな」
朝出かける時のやりとりも奇妙に恥ずかしかったが、今はそれ以上だ。
といっても、期待というか予想していなかったといえば嘘になる。
臨也はもう帰ってきてんのかなと思いながら、マンションのエントランスを抜けて、エレベータに乗って。
鼓動が逸るのを感じつつドアを開ければ、待ち構えていたかのように「おかえり」と来た。
これでよろめかない男がいたら嘘だろう。
おかしいねとくすくす笑う臨也に手を伸ばして、そっと頬に触れて。
顔を上げたところに唇を寄せれば素直に目を閉じる。
触れるだけで離れて至近距離で、綺麗な色の瞳を見つめると、臨也はふっと瞳を笑ませた。
「夕飯は下拵えまでできてるよ。手伝ってくれるでしょ」
「分かった」
それならと奥に足を向ければ、臨也も直ぐ後をついてきて。
「やっぱり定番のアレやらなきゃいけなかった? 御飯かお風呂か俺かってさ」
「いらねぇよ」
笑いながら悪戯に問いかける臨也に、バーカと応じる。
お前が居れば十分なんだよ。そんくらい分かれ、と言う代わりにもう一度キスをした。
街角いちゃラブ・その3
2011.10.30.
新婚さんのハロウィン
「ただいま」
「シズちゃんおかえりー。trick or treat !!」
「ほれ」
「──え?」
「俺がいつまでも年中行事に疎いと思うんじゃねぇよ」
「……余計な知恵つけてくるなよ、ったく。で、何これ」
「パンプキンプリン。まあハロウィンっつーより、美味そうだったからつい買っちまったんだけどな」
「――」
「どうした?」
「……いや、まさかシズちゃんがこんなリアクションするとは思わなくてさ。俺も買っちゃったんだよね、パンプキンプリン」
「は?」
「それもホールで」
「……見せろ」
「あ、うん。いいけど」
「──ほら、これ」
「あー、そんなにでかくねぇな」
「15cmだからね。高さもないし」
「じゃあ、いけんじゃねぇの」
「え?」
「俺の買ってきたのはカップで、別にでかくねぇしよ。二人がかりなら、これくらい食えるだろ」
「あー、まあ……いけないことはないかな。代わりに夕食の御飯減らせば……」
「な?」
「うん。じゃあ、そうしよっか」
「おう。じゃあ先に飯にしようぜ」
「うん」
「ご馳走様。じゃあ、お待ちかねのパンプキンプリン登場ー!」
「……なんでそんなテンション高ぇんだよ」
「楽しまなきゃ損だろ。馬鹿騒ぎの行事なんだし。シズちゃん、4分の3くらいいける?」
「おう」
「じゃあ俺はワンカットもらうね。……はい、残りあげる」
「カップは1つずつでいいか」
「うん」
「んー。なんか材料はカボチャだけ!って感じだよね。さすがモロ○フ」
「飯は減らして正解だったな。でも、美味ぇよ」
「こっちのパンプキンプリンは、普通にパンプキンプリンだよね。卵とミルクとカボチャって感じ。カラメルが効いてる」
「ダブっちまったけど、どっちも美味ぇし、これはこれで良かったんじゃねぇの?」
「うん。でもさぁ」
「何だよ」
「trick or treatってのがさ。つまんないよね」
「は?」
「お菓子もらったら引き下がるなんてさ、惰弱だと思わない?」
「──お前の場合はそうだろうな」
「そうそう。だからさ、シズちゃん。trick and treat.」
「……これ食っちまったら好きなだけ付き合ってやるよ」
「上等。さっすがシズちゃん」
「当たり前だろ。お前もとっとと食っちまえ」
「了解。あ、でも手付けはちょうだいね」
「──ん…」
「甘ぇな」
「シズちゃんこそ」
「……早く食えよ」
「はいはーい」
街角いちゃラブ・その4
2011.10.31.
新婚さん・ぼっち編
「ただいま。いい子にしてたか、サクラ」
「臨也は……まだ帰ってきてねぇよな。帰るってメールも来てねぇし」
「今回の仕事は長引きそうだとは言ってたけどよ……現地調査っつって、どこをほっつき歩いてるんだかな」
「悪さしてなきゃいいけどな……」
「……誰かと一緒のメシに慣れちまうと、一人飯が味気ねぇんだよな……。飯の作り甲斐もねぇしよ」
「臨也の奴、今夜も電話してくっかな。つーか、面倒事に巻き込まれてるんじゃねえよな……」
「クソ、考えてても仕方ねぇか。メシにしようぜ、サクラ」
街角いちゃラブ・その5
2011.11.19.
いい夫婦の日記念/新婚さん・ただいま編
「ただいま……」
「あ、シズちゃんおかえりー」
「────」
「あれ、どうしたの?」
「……いつ帰ってきたんだ」
「ん? 夕方四時頃かな?」
「────」
「何?」
「……なんで連絡しねぇんだよ」
「連絡って……毎晩、電話してたじゃん」
「違ぇって! 帰るなら帰るって……」
「……何かやましいことでもあるの?」
「はぁ?」
「わざわざ帰るコールしろだなんてさ。いつもはそんなこと言わないだろ。黙って帰ってきたらマズいことでもあるわけ?」
「──ンなわけ…」
「ふーん。十日ぶりに帰ってきたのに、喜んでくれないんだ。あっ、そう」
「は? 何を…」
「一生懸命、仕事してたのにさ。これでも頑張って、予定より一日早く片付けてきたんだよ? でもシズちゃんは、ぼっちの独身生活が良かったんだねー」
「ンなわけあるか!!」
「あれ、逆ギレ?」
「違ぇ!!」
「じゃあ何なの?」
「だから、驚いたんだっての! 居ないと思ってたのに居たからよ」
「居ないはずの奴が居たら、何か都合が悪いことでもあるわけ?」
「だーかーらー、なんでそう悪い方にばっか解釈しやがるんだ!」
「シズちゃんの態度が悪いからだろ」
「悪いのはお前の方だろうが! 俺は、お前が帰ってくるって分かってたら、ちゃんと飯の用意とかして待っててやりたかったんだよ!!」
「──は…」
「お前が帰ってくる時は、家に居てやろうと思ってたのに…」
「……なんで……?」
「十日間の留守だぞ? おかえりって言ってやりたいと思って何が悪いんだよ」
「……シズちゃん」
「何だよ」
「あのさ……もしかして、寂しかった? ものすごく?」
「……今更、何言ってやがるんだ、お前。俺が平気だったと思ってんのか?」
「いや……でもサクラ居るじゃん」
「サクラはサクラだ。そりゃ居ないよりは良かったけどな」
「……そうなんだ」
「おう」
「シズちゃん」
「何だよ」
「シズちゃんの肉じゃが、食べたい」
「は?」
「京都や大阪の御飯、美味しかったけど三日で飽きちゃった。シズちゃんの作った御飯食べたい」
「……だったら連絡してこいっつーの。昨日の夜にでも言ってりゃ、作って待っててやったんだよ」
「でもさ、連絡無しで帰った方がシズちゃんが驚くかなーとか思うだろ」
「……馬鹿だろ、お前」
「でも驚いただろ? 思ったよりは喜んでくれなかったけど」
「まぁな。でもメールの1本でもありゃ、もっと喜んだっての」
「……俺の作戦ミスってわけ?」
「おう。で? 肉じゃがの材料はあるんだろうな?」
「買ってきたよ。……ねえ、シズちゃん」
「ん?」
「ただいま」
「──おかえり、臨也」
街角いちゃラブ・その6
2011.11.22.
NEXT >>
<< PREV
<< BACK