「本当、俺はお前が居ないとだめらしいな。」そう言って彼は、臨也をぎゅっと抱きしめました。 http://shindanmaker.com/123183
幾つも幾つも触れるだけの可愛らしいバードキスが降ってくる。
静雄がキスが好きなのは今に始まったことではない。が、今日はやたらと回数が多い。
何かあったかな、と思いつつ受け止めていると。
不意にぎゅっと抱きしめられる。
「シズちゃん?」
広い背中を抱きしめ返しながら、どうしたの、と問いかけるが、即答はない。
何なんだろうと思いつつも、黙っていれば案外、きちんと理由を話し始めるのが静雄だ。
だから待っていれば、耳元で溜息をつくのが聞こえて。
「……なんかこうしてっと、すげぇ安心する」
「……安心、できるわけ? 俺なのに」
「お前だからだろ」
あっさりと切り替えされて言葉に詰まる。
そもそも、こんな風に触れ合うことすら、ちょっと前の自分たちならばあり得ないことなのだが、しかし、この台詞はもっと有り得ない。
えーと、としばし考えて。
「ナイフで刺してあげようか? 目が覚めるかもよ?」
「阿呆」
「でも、おかしいだろ。君が俺で安心するって」
「するもんは仕方ねぇだろ」
「だったら、なんで街で会った時は追いかけてくるのさ」
「そりゃ手前が碌でもないこと企んでるからだろうが」
「決め付けるなよ」
「決め付けてんじゃなくて、事実だろ」
「大概失礼だよね、シズちゃんて」
「安心しろ、手前に対してだけだ」
「それが失礼だっての! いい加減離してよ!」
「駄目だ」
「なんで!?」
「だから、安心するんだっつてんだろ」
「それがおかしいだろ!?」
「おかしくねぇよ。だから、もうしばらくこうされてろ」
「だから嫌だって!」
「臨也」
耳元で不意に名前を呼ばれて。
ぞくりと甘い痺れが背筋を走る。
そのせいか、
「……やだ」
抵抗する声は奇妙に甘くなった。
それに静雄も気付いたのだろう。抱き締める腕の力が、ぎゅっと強くなる。
「お前が居ないと、駄目だ」
ほのかに甘く響く低い声が、ひどく優しく聞こえて、ぎゅっと心臓が痛む。
「……そんなの変だよ。シズちゃんらしくない」
「俺らしいって何だよ」
「俺を見かけたら標識持って殴りかかってくるのがシズちゃんだろ」
「そりゃ外での話だ。いいんだよ、これで」
そう言う静雄の腕の中は、ただ温かくて。
「ホント、馬鹿だよね」
「あぁ?」
「水平線馬鹿。メダカ馬鹿」
「手前なぁ」
呟かれる声は怒りよりも呆れに満ちていて。
「いい加減、黙れ」
そんな言葉と共に降ってくる唇に、迷わず目を閉じた。
ただのTL荒らし
水平線馬鹿=果ての見えない馬鹿
メダカ馬鹿=すくいようのない馬鹿
2011.08.06.
シズちゃんとの今日の萌えシチュは 1、寝るまでずっとここにいてほしいとシズちゃんがあなたの腕をひっぱります。 2、シズちゃんとあなたは向き合ってお互い抱きしめあいながら寝ます。 http://shindanmaker.com/28548
そろそろ帰るか、と起き上がった瞬間、腕をひっぱられてベッドに逆戻りする。
否、落下地点は温かくも硬い、男の体の上だった。
「何?」
「帰んな」
「……また?」
先日もそう言われたばかりだ。困惑して顔を見つめるが、返答は簡潔だった。
「俺が寝て、起きるまでここにいろ」
「……俺はシズちゃんの抱き枕になった覚えはないよ」
言いながら腕を軽くひっぱってみる。が、掴まれた力は緩まない。
諦めて、胸の上にことんと頭を置けば、やんわりと背中を抱きしめられた。
「シズちゃんのバーカ」
化物のくせに。
そう思いながら、臨也もそっと温かな身体に腕を回して目を閉じた。
先日のハグお題の続きっぽい
2011.08.07.