Midnight Rendezvous








「あなたを好きになりました」
「そうか」

 そんな会話をしたのは、今から一ヶ月半くらい前のこと──…。









         *         *









 夜の街は、相変わらず虚飾に満ちてきらびやかに輝いている。
 よくできた、だが少々アクの強い万華鏡にも似た光景に、楊ゼンはふと、酔ったような気分になり、通りから視線を反らした。
 だが、ネオンで彩られたこの街には夜空さえない。わずかな無の空間を求めて、細い路地を挟んだ向かい側のビルの薄汚れた壁を眺める。
 寄りかかって背を預けているのも、同じような古いビルの壁。
 ほんの一歩、横に足を踏み出せば、あらゆる喧騒がごった煮になったような通りがあるというのに、この薄汚れた狭い路地は人気もなく、まるでエアポケットのような空間を作り出している。

 今夜は、まだまだ宵の口、と感覚で時間を計りながら、楊ゼンは新しい煙草のボックスを開ける。
 今夜もふらりとこの街に彷徨い出てきてから、それほどの時間は経っていない。
 にもかかわらず、何となく疲れたような気分になっている原因を、楊ゼンは火をつけた煙草をくわえ、深く息を吸い込みながら考える。
 このイミテーションばかりを詰め込んだ安っぽい宝石箱のような街が性に合うと思う感覚は、こんな風に街をふらつくようになった頃から何も変わっていない。
 なのに最近、これまでに感じたことのない物足りなさを覚えるのが何故なのか、その原因を楊ゼンは正確に知っていた。
 どうしようか、とらしくもなく自分が迷っているのを片目で眺めながら、二本、煙草を浪費して。
 それから楊ゼンは、ゆっくりと路地から足を踏み出して、きらびやかな喧噪の中へと歩き出した。




 バー・窖ANAGRAの扉をくぐったのは、日付けが変わる寸前だった。
 一歩足を踏み込んだ途端、ひやりと心地良く冷えた空気が全身を包み込む。
 夏はそろそろ終わりだが、都会の夜はだからといって涼しさを感じさせてくれるほど優しくはない。
 無意識に一つ息をついてから、楊ゼンは右手にあるカウンターへと向かった。
「いらっしゃいませ」
 定席となっている、端から二番目のツールに腰を下ろすと、品の良い響きの声がカウンターの向こう側からかけられる。
「今夜は少し遅めの御来店ですね」
「ええ。何となく」
「最初は、いつもと同じでよろしいですか?」
「ええ」
 静かな、だが底の知れない微笑を向けるバーテンに、同じように微笑で返しながら、楊ゼンは心の中で、最近癖となっている感嘆の溜息を小さくもらした。
「どうぞ」
 きっちりと分量を量ったダブルのフォアローゼスのゴブレットを楊ゼンの前に置き、そしてバーテンはカウンターの端からトレイを手にフロアの方へと出てゆく。
 テーブル席の空になったグラスを回収し、新たな注文を受けて戻ってきた彼は、空のグラスをひとまず流しに置き、手早くカクテルを作りはじめる。
 ベースや他のリキュール類を並べ、氷を削り、それぞれの分量を量って、シェーカーを振り、あるいは軽くステア(バースプーンでかきまぜること)して、またたく間に見た目にも美しいカクテルを作ってゆく彼の手元を、楊ゼンは自分のゴブレットに軽く手を添えたまま、見つめていた。
 窖ANAGRAのバーテンは、掴み所のない水とも触れたら切れそうな氷とも形容できる硬質の魅力を持った人物だったが、こうしてカクテルを作っている時が一番綺麗に見える。
 流れるように動く細い指や、計量している時の隙のないまなざし、カクテルが完成した時に一瞬、口元に浮かぶ淡い笑みが、楊ゼンは好きだった。




「ありがとうございました」
 いつの間にか時間は過ぎて、テーブル席に残っていた最後の客が帰ってゆく。
 音もなく出入り口のドアが閉まると、控えめに流れていたオールディーズが、不意に音量が増したように感じられた。
 そして、軽く息をついたのが聞こえて、カウンターの向こう側にまなざしを向けると。
 もう先程までとは、まるで表情の変わった彼が居た。
 楊ゼンのまなざしに軽い笑みで応え、クローズの看板を出すために、彼は一旦、カウンターを出てゆく。
 しばらくしてから戻ってくると、カウンターの中で二杯のカクテルを手早く作って、再びフロアの方へと出てきた。
 そして、ラムベースのカクテルを楊ゼンの前に置き、ウォッカベースのカクテルを片手に楊ゼンの右側のカウンター席に腰を下ろす。
 彼が落ち着くのを待って、楊ゼンがグラスを取り上げると、彼は微笑して軽くグラスを合わせた。
 クリスタルグラスが触れあう澄んだ音が小さく響いて。
 彼が、くすりと笑う。
「今日はマスターはどうしたんですか?」
「ああ。本業の方が忙しいらしくてな、今夜はこっちには顔を出せないそうだ」
「本業?」
「本人はそう言っておるが、実質は道楽だよ。このバーと同じだ」
「へえ」
 マスターの本業とやらが何なのか、とは楊ゼンは聞かなかった。
 聞けば答えてくれるかもしれないが、所詮、こんな街の小さな酒場のオーナーである。正体不明のままでもまったく構わないのだ。
 それよりも、と楊ゼンは隣りに居る相手をちらりと見やる。
 時と場所によって、全然違う顔を見せる彼の方が、自分にとっては余程問題だった。

 今日の昼間、廊下ですれ違った時も、彼は、まなざしさえこちらに向けようとはしなかった。
 明朗快活で人望厚い生徒会長の顔のまま、友人と楽しげに言葉を交わしながら通り過ぎていって。
 何気なく見送った自分の視線にも、気付いてはいない様子だった。
 もっとも、感覚の鋭い人だから、本当に気付いていないということは、おそらく有り得ない。
 ただ、彼は楽しんでいるのだ。
 遊び人の噂の高い、一学年下の学年首席など知り合いのはずがない優等生を演じるのを。
 ゲームだ、と言い切った彼の言葉を聞いているから、その気持ちは分からないわけではない。
 だが。
 意地が悪い、とは思う。
 それとも、根性が悪い、といった方が彼には似合うだろうか。
 それだけでなく、この夜の街でも、彼はまた別の顔を見せる。
 名門進学校の学年首席とは到底思えない──ついでに未成年とは思えない、深みと鋭さ、そして大都会の夜にふさわしいきらびやかさを兼ね備えた、得体の知れない静かな微笑。
 白のドレスシャツに黒のベストという制服で、耳に金のカフスを飾った彼は、毎晩のように酒場に顔を見せる楊ゼンに対しても、あくまで常連客とバーテンという構図を崩さず、個人的な会話など交わす気もないと言いたげな態度は、非情に丁寧で礼儀正しいが、素っ気ない。
 そのあまりの変わり身に、毎晩のことでありながら楊ゼンは感嘆の溜息をつくしかない。

 けれど。
 一番胸が騒ぐのは、明朗快活な生徒会長でも、得体の知れないバーテンでもなくて。

 今、こうして隣りに居る人なのだ。

「そういうわけだから、今日は店の片付けをしなければならんのでな」
「いいですよ。手伝います」
 一緒には帰れない、とおそらく言いかけた相手の言葉を遮って、楊ゼンは告げる。
「片付けは嫌いじゃありませんし、二人でやった方が早く終わるでしょう?」
「それはそうだがな」
 グラス片手に、どうするかなと一瞬考える顔をして。
 それから、太公望は笑みを向けた。
「ま、せっかくの申し出だ。遠慮なく手伝ってもらうか」
「ええ」
「では、さっさとやってしまおう。こんな狭い店だ、二人がかりならすぐに終わる」
「はい」
 楊ゼンの言葉をさらりと受け止めた微笑は、その奥底にあるものを容易には見せない。
 口元に苦笑めいた曖昧な笑みをにじませたまま、締めくくりの軽めのカクテルを飲み干して。
 楊ゼンは立ち上がった。




 私服に着替えた太公望が裏口に鍵をかけるのを待って、楊ゼンはゆっくりと歩き出した。
 こうして並んで夜の街を歩くのも何度目になるのだろうと考えながら、ちらりと隣りの人に視線を向ける。
 太公望はいつもと同じ、気負いのない、だがどこか不敵な雰囲気を漂わせた瞳で、深夜の通りをまっすぐに見つめていた。
 きらびやかな虚飾にも飲み込まれることなく、凛と背筋を伸ばしている人が、ふと眩しく感じられて、楊ゼンは目を細める。
 そして、この人の目には、この街が……そして、隣りに居る自分がどんな風に映っているのだろう、と考えた。

 初めてこの夜の街で見かけた、あの時から。
 多分、ずっと自分はこの人に惹かれ続けている。

 その深く鋭いまなざしに。
 何にも飲み込まれることのない不敵な微笑に。
 無駄のない手指の動きに。

 一分一秒を追うごとに、その想いは増していて。
 一ヶ月前なら、一週間前なら気にならなかったことも、今はどうしよう程もないくらいに、気になってしまう。
 そんな自分を、情けない、と笑う気にもなれない。

 あの時、いい加減な軽い気持ちで、好きだと告げたわけではなかった。
 だが、かといって深い気持ちがあったかというと、それもまた違う。
 ただ。
 通りすがりの想いでは……ただの好奇心では済まないと、そんな予感がしたのだ。
 ともすれば大火傷(やけど)にもなりかねないような。
 そして、それは確かに当たってはいたのだけれど。

 大通りに出たところで立ち止まり、角にある自動販売機で烏龍茶を二本買う。
 そんな事も、もう日常となりつつある。
「ほれ」
 取り出し口へと軽く屈めた体を起こして、振り返った彼が差し出した缶を受け取りながら、楊ゼンは少しだけ曖昧な微笑を浮かべた。
 そして、並んで行き交う人と車の波を眺めながら、プルトップを引き上げ、一口冷たい茶を口に含む。
 それから、さりげなく隣りに目を向ければ、太公望はいつもと同じような表情で、その瞳にきらびやかなネオンを映し込んでいて。
 溜息が零れ落ちそうになるのを押し戻そうと、もう一度、缶に口を付ける。
 と。

「──どうした?」

 不意に声がかかった。
 少し驚いて横顔を見直せば、彼のまなざしは相変わらず大通りに向けられたままで。
 ただ、声だけが楊ゼンに向かって投げかけられる。
「近頃、おぬしは良くそんな顔をする」
「──そんな顔って……」
「そういう顔だよ」
 ようやく、太公望はまなざしを戻して楊ゼンを見上げた。
 悪戯めいた、だが、いつもより少しだけ優しくも見える瞳が街の灯りに静かにきらめいている。
 けれど、その奥底に何が隠れているのかは分からない。
「どうもすっきりしない顔だ。何か思うところがあるのなら、言ってみたらどうだ?」
「────」
「ん?」
「──笑いませんか?」
「さあ」
「…………」
「阿呆なことを言ったら、笑うに決まっておるだろうが。そこまでわしは、お人好しではないぞ」
「──あなたって本当に意地が悪いですよね」
「何を今更」
 烏龍茶の缶を片手に笑みを見せる人に、楊ゼンは小さく息を吐き出す。

 こういう人なのだ。
 下手に変化球を投げても、かわされるだけで絶対に受け止めてはもらえない。
 ならば。

「──あなたにとって僕は何なのかな、と」
 なるようになれ、と半ば破れかぶれの気持ちで、楊ゼンは思いを言葉に乗せた。
「最近、そういうことが気になるようになりましてね」
「……返事が欲しいと言われた記憶はないぞ」
「そりゃ言いませんでしたから」
 肩をすくめるようにして、楊ゼンは言い返す。
 あれは、本気になりそうだ、という宣言に過ぎなかった。
 そして、そのことは太公望に伝わっていたはずである。にもかかわらず、揚げ足を取ってくるような人に本気になる辺り、自分は実は趣味が悪いのかもしれないと思いながら、楊ゼンは続けた。
「けれど、一ヶ月前は一ヶ月前、でしょう?」
 そう言うと。
「違いない」

 くすりと笑う気配がして。

 振り返った楊ゼンの視線の先で、太公望は空になった缶をくず籠に放り込む。
 そして、悪戯めいた微笑を楊ゼンに向けた。
「じゃ、行こうか」
「え?」
「少し歩くが構わんだろう?」
 言うなり、返事も待たずにさっさと歩き出す。
 慌てて楊ゼンも空き缶を捨て、後を追った。
「──どこに行くんです?」
 隣りに並んで、尋ねると。
 彼は悪戯めいた笑顔のまま、ちらりと楊ゼンを見やって。

「わしの家」

 一言、そう答えた。









         *         *









 太公望の家は三十分と少し、歩いた所にある閑静な住宅街の中にあった。
 築二十年ほどに見える、ごく普通の一戸建て住宅を、楊ゼンはどこか不思議な気持ちで見上げる。
「ここですか?」
「うむ」
 返事をしながら太公望は、ブラックジーンズのポケットから鍵を取り出し、玄関の錠を開ける。
 そして、肩越しに視線で楊ゼンを招いた。
「──お邪魔します」
「あ、鍵は掛けておいてくれ。さすがのわしでも、押し込み強盗に来られたら困るからな」
 さっさと靴を脱ぎ、明かりを順番につけながら奥へと進んでいく太公望に、少々呆れを感じながらも、楊ゼンは言われるままに錠とチェーンロックをかけ、自分も玄関を上がる。
 唐突な展開に対する動揺は、ここまでの道程に綺麗に鎮まっていた。
 もともと太公望は、常識だの普通だのと称されるような感覚で対応できるような相手ではない。
 自分達はあの街で出会い、今夜もそこでアルコールを口にしながら会話をしていたのに、あの街には掃いて捨てるほどにある安ホテルの前は素通りして、わざわざ自宅に連れてくるというのも、ある意味普通の感覚ではないだろう。
 そこらの中学生の恋愛でもあるまいに、と思いつつも、楊ゼンとて並の神経の高校生ではなく、既にこの状況を面白がり始めていた。

 玄関を上がった所で立ち止まって、明かりのつけられた廊下の奥を見やり、感覚を澄ませて家の中の空気を掴もうと試みる。
 そして、この家の中の静まり方に、楊ゼンは改めて彼が一人暮らしであることを考えた。
 人が暮らしている気配は、そこここにあるのに、どこかしんとしている。
 その感じは、自分のマンションの部屋によく似ていて。
 また一つ、寄せた波に彼の方へと押しやられたような気分を覚えながら、明かりに誘導されるままに奥へと足を踏み入れる。
 すると、リビングらしい部屋で、太公望はちょうど手にしていたエアコンのリモコンをテーブルに戻した所だった。
「お、迷わずに来れたか」
「迷うわけないでしょう、明かりは廊下とこの部屋にしか付いてないのに」
 振り返ってそんな軽口を叩いてくる人に、肩の力が抜ける。
 かなわないと思いながらも、そんなところが好きだと感じる自分の心に苦笑しつつ、手を伸ばせば届く距離まで近付いて。



 微笑の滲んだ視線が重なったのは、ほんの一秒か二秒。
 三秒後には、唇が重なっていた。



 ゆっくりと触れては離れることを数度繰り返し、太公望の腕が自分の肩に回されるのを感じてキスを深める。
 舌を伸ばして軽く誘うと、太公望も同じようにやわらかな舌を軽く触れ合わせてくる。
 どちらが誘っているのだか、と内心苦笑しながら、楊ゼンはゆっくりと甘い唇の奥へと忍び入った。
 細い腰を抱き寄せ、舌を絡ませて濃厚な口接けをかわす。
 何度も角度を変えながら、舌先で上顎の裏をくすぐってやると、感じるのか、腕に抱いた躰が時々びくりと震える。
 その過敏さを快く感じつつ、楊ゼンは一旦、口接けを解いた。
 そして、長く深いキスから解放されて、甘い溜息のような息を零しながらゆっくりと開かれた深い色の瞳を覗き込む。
 と、そこには悪戯めいた甘い光が浮かんでいて。
 彼らしい無言の了承のサインに、くすりと笑みながら、すぐ側にあるソファーに誘う。
 もとよりそのつもりで、このリビングに楊ゼンを招き入れたのだろう。太公望は素直に押し倒された。

 そこから先は、もう野生の獣のように言葉など要らなくて。
 本能のままに肌を触れ合わせる。

 キスを繰り返しながら、くすぐったそうに小さく笑う人の胸元のボタンを一つずつ外してゆく。
 上質の生地を使った黒いシャツの間からのぞく、すべやかな肌に誘われるままに口接け、紅い花弁のような所有印を刻んで。
 笑みを含んだ声が、これまでに聞いたこともない熱と艶を帯びて濡れていくのに溺れる。
 いつもの彼の剛胆さとは裏腹に、過敏におののき続ける肌が、どうしようもなく熱を誘って、楊ゼンもゆっくりと身に付けていた服を脱ぎ捨てた。




「……っあ、ん…!」
 乱れた吐息とともに零れ落ちる嬌声に、楊ゼンも抑えた息をつく。
 初めて感じる太公望の裡は、これまでに感じた誰よりもきつくて……熱くて。
 少しでも油断すると、持っていかれそうになる。
 理性も何もない。
 ただ、もっとこの快楽が欲しくて、もっとこの快楽を感じて欲しくて。
 探り当てたばかりの過敏な箇所を、己の欲望で何度も角度を変えながら慰めてやる。
 そのたびに甘い声を上げ、柔襞できつく締め付けてくる素直な躰が愛しい、と思う。
「ここも感じるんですね……。こっちと……どちらが気持ちいいですか……?」
「あ…! や…っ……、ど…っちもやめ……!」
「やめませんよ」
「──やっ……、あ…っん…っ」
「ほら、気持ちいいでしょう? もっと感じて……?」
「ひ…あっ、やあ…っ!」
 淫らな甘い悲鳴を上げながら、全身を貫く快感にそりかえった細い躰がびくびくと震える。
 ゆっくりと愛してやりながら、いつもからは想像もできない──酒場での彼に通じるようで全然違う、艶めいた切なげな表情に楊ゼンは見惚れる。
 と、つけたままの照明の下、快楽に潤んだ瞳が薄く開いた。

 間近で見れば、濡れてはいても、その深い色合いはよく見知ったものと何も変わらなくて。
 この瞳が、太公望なのだ、と楊ゼンは唐突に理解する。

 移り気な万華鏡のように、きらきらと煌めきながら表情を変え続ける彼。
 けれど、その底にある決して変わらないものが、快楽の波間に垣間見えて。

「よ…うぜん……っ」
 名を呼ぶ声とともに、ぐいと流れ落ちた髪を引っ張られて、楊ゼンは我に帰った。
 見下ろすと、濡れた瞳がもどかしげにこちらを睨み上げていて。
「焦らすな……!」
 なじる調子で告げられた一言に、思わず笑いが込み上げる。
 と、更にきつく髪を引っ張られて。
「痛いですって。……分かりましたから、手を離して下さいよ」
 苦笑しながらも、なだめるようにキスを落とす。
「すみません」
「……ふん」
 納得したのかどうかは定かではないが、それでも太公望は髪を引っ張る力を緩めた。
 そして、もう一度、深いキスをかわして。
 これまでで一番甘く、すべてを灼き尽くすような熱に二人は溺れた。









「……ったく、無茶しおって……」
「一応、手加減はするつもりだったんですけどね」
 でも、あなたが誘うから、と続けると、髪を撫でていた手をぺしりとはたかれた。
 しかし、それで懲りることもなく楊ゼンは、またさらさらと流れる太公望の髪に手を伸ばす。
 さすがに疲れたのだろう、太公望はソファーの端に腰を下ろした楊ゼンの脚を枕に、ソファーの上に仰向けに伸びている。
 遮光カーテンは閉まったままだから、窓の外の天気は分からない。が、そろそろ夜明けが近い時刻だった。

「……でも、先輩は僕が初めてじゃなかったんですね」
 さらさらと指から逃げてゆく髪の感触を楽しみながら、ふと楊ゼンが零した声は、別段曇ってはいなかった。
 が、淡々とはしていても、いささか不穏な内容に太公望は閉じていた目を開けて、年下の青年を見上げる。
「なんだ、おぬしはそういう事にこだわるタイプなのか?」
「普段は全然、気にしないですけどね。あなたに関してはちょっと別かなーと」
「ほう?」
「あなたが何も知らないとは思ってませんでしたし、僕も他人のことをどうこう言えるような身じゃありませんしね。だから、あなたが初めてかどうかは別にいいんですけど、過去の経験より良くないと言われたら、ちょっと嫌かもしれません」
「なるほど」
 正直な返答にくすりと笑って、太公望は髪を撫でている楊ゼンの手を押し退け、起き上がる。
 と、慌てて楊ゼンは手を伸ばし、その躰を支えた。
「無理に起き上がらなくても……」
「別に大丈夫だよ。それなりに加減はしてくれただろう?」
 にっといつもの笑みを浮かべて、太公望はソファーの上で行儀悪くあぐらを組む。
 そして、小さく首をかしげるようにして楊ゼンを見つめた。
「で? おぬしはどう感じたのだ?」
「え?」
「おぬしは相当、この手のことには慣れておるだろう。さすがに男相手の経験は無かったようだが、それでも触れ方に迷いが無かった。違うか?」
「──否定はしませんけどね」
 図星を指されて、楊ゼンは少しだけ眉をしかめる。
 そして、太公望の質問の意図を汲み取って、今抱いたばかりの躰の感触を思い返す。
「……あなたは、経験はあるけれど慣れていると言えるほどではない、といったところですか?」

 経験があるだろうというのは、夜の街で出会ってからしばらくの頃に気付いた。
 太公望のまなざし、並んで歩く時の距離のとり方、それらはいずれも何も知らない、同性同士の間にそういう関係が成り立たないと思っている人間のそれではなかった。
 誘いかけるわけではない、が、決して無防備でもない。
 クールで不敵なのにどこか艶めいていて、燦然ときらめく宝石のように近付く者を魅了する。
 下世話な言い方をすれば、『一度お願いしてみたいけど、ちょっと手の出せない高嶺の花』が持つ雰囲気を、夜の彼は持っていた。

 だが、実際に押し倒してみると、慣れているという感じは全然しなかったのだ。
 与える愛撫に戸惑う様子もなく、素直に……というより、むしろ積極的に快楽を受け止めてはいたが、その感じ方には余裕がなくて。
 自分から見れば他愛なさすぎるほどに過敏な反応を返してきて、その反応の仕方に、あまり無茶はできないと判断し、終盤はともかくも途中まではかなりセーブしていた。

 そうしてあれやこれやを考え合わせると、太公望は経験は多くなくともそれなりの快楽の味を知っているのだろうな、と思わざるを得なかった。
 これまで自分も散々遊んできた以上、過去の経験の有無は別にどうでもいいのだが、しかし、過去の経験より良くなかった、と言われたらどうすればいいのか。
 それならそれで技術向上に精進するのみだが、とりあえずかなりイヤな気分になるのは確かである。

「正解」
 そんな楊ゼンの思考をどこまで読んだのか、太公望はくすりと笑う。
「気になるのなら昔話をしてやるが?」
「………記憶の中にある経験の方が良かった、というオチがつかないなら、聞きたい気もしますけど」
 少々憮然とした顔のまま言うと、今度こそ太公望は破顔した。
「おぬしもこだわるのう」
「仕方ないじゃないですか。男なんですから」
「そりゃそうだな」
 小さく笑い続けながら、太公望は手を伸ばして楊ゼンの髪に指を絡める。
「だが、気持ちは分からんでもないが、過去と比較するのはお門違いだぞ。全然性質が違うから、比べる対象にすること自体、間違っておる」
「どういう意味です?」
「聞きたいか?」
「………聞かせて下さい」
「よし」
 悪戯っぽくうなずいて、太公望は指に絡めた楊ゼンの髪をほどく。
 形のいい細い指が遠のいていくのを、少しだけ残念に思いながら楊ゼンは、なかば破れかぶれの気分で昔話を聞く心の準備を整えた。
 なんだか最近、こんな気分ばかりだと内心考えながらも、あなたの過去など気にしない、と耳を塞いで逃げられないあたり、思っていたよりも自分の男としてのプライドは高いらしいと、そのくだらなさに溜息が零れる。
 だが、太公望は傍らの恋人もどきの心理などお構いなしに、いつもと同じ表情、同じ口調で『昔話』を語り始めた。




「わしが夜遊びを始めたのは、高校に入ってから、つまり伯父の家を出て、この家に戻ってきてからなんだがな。最初の頃はやはり無防備というか、いつでもそれなりに警戒はしていたのだが、やはり甘くてのう。ま、誰でも最初はそんなものだと思うのだが……」
「最初から夜遊びに上手に適応できてたら、それはそれで異常者ですよ」
 夜遊びは喧嘩と同じである。
 うっかり無防備に痛い目に遭い、そこでネオンの渦の泳ぎ方を学習してゆく。
 痛い思いをしたくなければ、最初から足を向けなければいい。
 それでも夜の街に一時、存在を置きたいのであれば、奈落に落ちないよう、それなりの付き合い方を学習するしかない。そういうものだ。
「うむ。だが、夜遊び初心者でも、それなりに楽しんではおったのだ。つるむのは好きではないから、いつも一人だったが、こういう性格だから、初対面の相手とも険悪になるような馬鹿なことは滅多になかったし……。
 どこぞのクラブだの飲み屋だので、隣り合わせた人間と適当にしゃべりながら過ごすのが、あの頃のわしのやり方だったのだがな。たまたまある日、あの頃のわしより少し年上……今のわしくらいの三人連れと何となく同席して、飲んでおったのだ」
 太公望の声は淡々としていて、つまらない思い出話を語る、それ以上の物でもそれ以下のものでもなかった。
「くだらない話をして笑いながら、グラスを重ねて……。そのうち、滅多にないことだが酔いが回ってきてな、そろそろ帰ろうかと立ち上がろうとした時には、もう立てなかった」
「それって……」
「おぬしの推察通りだよ」

 先を察して思わず真顔になった楊ゼンに、太公望は皮肉っぽく肩をすくめてみせた。

「そもそも、伯父の晩酌に付き合って、中学生でウワバミ呼ばわりされていたわしが、あの程度の酒で足腰が立たなくなるわけがない。なんのことはない、カクテルにドラッグを混ぜられたのに気付かなかっただけだ。
 だが、健全に成長してきた青少年が、まさか男をそういう対象に見る輩が自分の隣に居るなどと、どうして想像する? ましてや、自分と殆ど年齢も変わらない連中がだ。うかつだったといえばそれまでだが、わしもまだ甘かったよ」
「それで……」
「そのまま、だ。マジックマッシュルームかその辺のやつだったと思うんだが、アップ系だったらしくてな、意識が飛びまくって痛みも何も快感としか感じられなかった。薬が切れた後は最悪だったが」

 あっさりとした告白に、楊ゼンは声が出なくなる。
 一ヵ月半前に、あの街で出会った時、既に太公望は艶(あで)やかなまでに不夜城になじみ、その一方でネオンの洪水の中からくっきりと浮かび上がっていた。
 間違いなく夜の街に巣食う存在であるのに、何者であれ容易には手を触れられない、鮮やかな色合いを持っていたのだ。
 だが、一方で自分と一歳しか違わない彼が、あれほど上手く夜の街を泳いでいるのには、そういう経験があったからかとも納得もして。

「わしもあれが最初で最後の経験だが、ドラッグが切れた時の疲労感というのは凄まじくてな。とてもではないが動く気がしなくて、どこかのビルの壁に寄りかかってぼんやりしていたら、声をかけてきた奴がいたのだ。「君みたいな可愛い子がそんな所で座り込んでると、またやられちゃうよ」とな」
「……その人って、もしかしなくても」
「そう。店を閉めて帰る途中だった太乙だ」
 得体の知れないバーのオーナーが、いかにも言いそうな台詞だ、と楊ゼンは呆れた気分になる。
「薬が切れたばかりで、わしもまだまともな判断力がなかったのだろうな。その格好じゃ帰れないだろうからとりあえず、うちに来るかいと言われて、のこのこ付いていった。あれがただの変人で悪人じゃなかったのが、不幸中の幸いだったよ」
「無茶苦茶ですね」
「だから、まともな状態じゃなかったと言っておるだろうが。それ以上言うなら、今度おぬしのカクテルにもドラッグをブレンドしてやるぞ」
「そうしたら、間違いなくあなたを即、押し倒して朝までそのまま、ということになると思うんですけど」
「そんなヘマをわしがするか。一服盛るだけ盛って逃げるわい」

 ふん、と小憎らしく太公望は笑う。
 その表情には屈託がなくて。
 以前、家族の話を聞いた時にも感じた、彼の過去は過去として前を見つめる強さを、今更ながらのように楊ゼンは受け止めなおす。
 自分は、そういう彼に惹かれたのだと思いながら。

「それでまあ、どうせ一人暮らしだし、学校には風邪を引いたということにして、数日の間、太乙の家に厄介になってな。色々話を聞いた。
 あやつは本来、某国立研究機関に所属していた科学者でのう。だが、派閥争いに嫌気がさして研究所を辞めた後は、山ほど特許権を持っているのをいいことに、好き勝手に妙ちくりんな発明を続けながら、道楽であんなバーをやっていたりするわけだ。
 で、あやつが小さなバーを経営していると聞いて、好奇心半分で手伝いに行ったのが三日目の夜。そのまま今に至るということだな」
「……何か、すごい話なんですけど」
「うむ。なかなか壮絶だろう?」

 言いながら、太公望はソファーの背に寄りかかり、天井の蛍光灯へと目を向ける。

「だが、問題はその後だ。妊娠するわけではないし、貞操観念が堅いわけでもないから、男にやられたということ自体は別にどうでもいいんだがな。おぬしなら分かるだろうが、体というやつは一度覚えた快楽は忘れない。かといって、もともと他人との接触が好きではない性格上、どうするわけにもいかなくてな」
「それで、どうしたんですか」
「だから、どうもしとらんよ。さっき、わしが慣れておらぬことを確かめたばかりのくせに、何を言っておる」
「それはそうですけど……」
「まぁとにかくだ。快楽は欲しいが、他人に触れられることを想像すると嫌悪感が走る。最初のことが軽いトラウマになったのかもしれぬが、そういう状態で悶々としておったわしに、声をかけてきた物好きな奴が居たわけだ」
「それが僕ですか」

 けなされているわけではないのだろうが、どうも釈然としない太公望の物言いに楊ゼンは眉をしかめる。

「なんか……、あなたの言い方だと、まるでSEXフレンドが欲しかっただけに聞こえるんですけど」
「阿呆。おぬしは何を聞いておったのだ」
 あきれかえった声とともに、再び太公望の指が楊ゼンの髪を一房、捉える。
 つんと軽く引っ張られる感触に、楊ゼンは彼の顔を見つめ直した。
「おぬしが好きだと言ってから、わしが何故、一ヶ月以上も返事をせずに放りっぱなしにしたと思っておる? それに、これまで一度も、あの街で声をかけられたことがないほど、わしがもてないと思っておるのか?」

 躰目当てのお付き合いに名乗りをあげた奴は、男女合わせて掃いて捨てるほどにいたのだぞ、と問われて。
 考える。

「……僕がまだ本気じゃなかったから、じゃないんですか?」
「もちろん、そうだ。だが、同時にわし自身の反応も図っていたのだよ。おぬしは全然、気付いてなかったようだが。」

 あっさりと太公望は答えた。



 触れられることは好きではない。
 だけど、この相手は?
 側に居ることを──キスをして、抱き合うことを許せるか?

 そんな風に、夜の街を並んで歩きながら。
 毎日のように自問自答をして、くれていた?

 ───体を重ねることを含めて、好きになれるか、と?



「──それで、合格したということですか?」
 柄にもなく心臓の鼓動が早まるのを感じながら、楊ゼンは問い掛ける。
 と、太公望は微笑した。
「分からんのか?」
「分かりますけど。でも」
 聞きたい、と告げて腕を伸ばす。
 細い体は抵抗もなく胸の中におさまり、太公望は小さな笑い声を零した。
「答えは教えてなどやらぬよ。もったいない」
「意地が悪いですよ」
 言いながら抱きしめる腕の力を強くしても、太公望は体重を預けたまま逃げる気配はない。
 だから、それ以上問いかける代わりに、楊ゼンは丁度口元にきていた、金のカフスが輝く薄い耳朶を甘く噛む。
 と、予想外の刺激に、細い躰がびくりと慄えた。
「じゃあ、答えてくれなくてもいいですから」
 もう一度、と。
 低めた声を耳の中に吹き込むようにささやくと、太公望はくすぐったいともとれる仕草で首をすくめ、そして楊ゼンを見上げた。

 深い色の瞳が、艶めいた悪戯な色を浮かべて微笑する。

「二度目も同じ場所というのはナンセンスだと思わぬか?」
「じゃあ、どこが御希望です?」
 問いかけると、太公望は笑って天井を指差した。
 普通の二階建て住宅の場合、寝室は大概、二階に設計されるものだ。
「了解」
 微笑とともにやわらかな唇に、一つキスをして。
 楊ゼンは腕の中の体を抱き上げた。









         *         *









「……学校、行くんですか?」
「優等生のわしを品行不良のおぬしと一緒にするな。睡眠不足だろうが何だろうが学校に行けば、保健室には立派なベッドがある」
「その台詞のどこが優等生なんですか」
「遅刻せぬように準備をしているあたりだ」
「遅刻はしないだけで、教室にいないのは僕と一緒でしょうが」
「おぬしが居るのは屋上や裏庭。保健室のわしと一緒にするな」
「だから、どこが違うんですか……」

 くだらない言い合いをしながらも、きっちりカッターシャツのボタンを留めた太公望は、器用な手つきでネクタイを結び終える。
 そして、ベッドの端に腰を下ろしたままの楊ゼンに向けて、銀色の鍵を放った。
 反射的に受け止めて、楊ゼンは太公望の顔を見直す。
「この家の鍵ですか?」
「好きなだけ居ても構わんが、出る時には鍵はかけておけ。わしも自分の鍵を持っておるから、それはおぬしが持っていていい」
「……へえ」
 しげしげと楊ゼンは、手の中の鍵を見つめる。
 何の変哲もない、過ぎた年月相応に細かな傷のついた、ごく普通のシリンダー錠の鍵だ。
「……僕のマンションの鍵も渡しましょうか?」
「どっちでもいい。が、渡したからといって、わしが行くとは思うなよ」
「確かにそんな暇はなさそうですね。夜のバイトに生徒会に……。そういえば、一応受験生じゃないですか?」
「ふん。ガリ勉して大学に入って何が自慢になる?」
「まぁ、あなたの場合、進路には困りませんよね。先月の全国模試、二位でしたっけ?」
「ああ、あんまり退屈だったから、古語の問題のラスト一問の回答を書きかけたところで、眠気が我慢できなくなってな。そのままチャイムが鳴るまで熟睡してしまったのだ」
「あと一分ばかり我慢したら、全国一位だったでしょうに」
「別に二位でも困らぬから、どうでもいい」
「要は、保健室で半日寝ていても文句を言われない順位なら、何でも良いんですよね、あなたは」
「その通りだ」
 身支度を終えて、さて、と太公望は鞄を手にして楊ゼンを振り返る。
「ではな。出かける時は、鍵だけはかけ忘れるなよ」
「それは良いんですけど。ねぇ先輩」
「言いたいことがあるなら、さっさとしろ。遅刻する」
「ずっとここに居たら駄目ですか?」
「……ずっと?」
 腕時計の針を見ていた目線を、太公望は楊ゼンに向ける。
 その表情は、楊ゼンの言葉を彼が正確に理解していることを示していた。
「ええ。どうせ僕も一人暮らしですし、マンションにはたまに帰れば十分ですから」
「────」
 考えるように、一瞬、太公望の動きが止まる。
 が、それは本当に数秒の間だけだった。
「勝手にしろ。この家も無駄に部屋が余っておるしな。但し、家主の気に食わんことをしたら、即座に追い出すぞ」
「分かってますよ。ありがとうございます」
 OKの返事が返ることは予想していたが、それでも嬉しさを感じて楊ゼンは立ち上がる。
 そして、見慣れた制服姿なのに、学校に居る時とはまったく違う、素の表情をさらしたままの太公望の髪に手を伸ばした。
 さらさらと指から逃げてゆく髪の感触に微笑み、軽く上半身をかがめて口接ける。
 ついばむような甘さで一度触れてから、角度を変えて今度は深く舌を絡ませ、出掛けの挨拶というには少々濃厚なキスを交わす。
 そして。

「いってらっしゃい」
「おぬしだって、本当はその言葉を言われる立場の高校生だぞ」
「良いんです。今日は休みだと決めましたから」
「阿呆」
 小さく苦笑して、太公望は楊ゼンから離れる。
 そして、ドアを出るところで振り返った。
「行ってくる」
「ええ。あなたが帰ってくるのを待ってます」
 何年も口にしたことのなかった言葉を、互いに交わして。
 苦笑するような表情をこちら側と向こう側に残してドアが閉まる。




 また今日も、新しい一日が始まろうとしていた。






end.










というわけで、いかがでしたでしょうか。 昨年夏頃にお目見えした、MIDNIGHT ESCAPEの続編です。
前回がエスケープ(逃避行。この場合はサボリ)で、今度はランデブー(デート)。タイトル通りに少し(?)進展したらしい2人です。

今回明らかになった太公望の過去ですが、これは前作のプロットを作った時から考えてあったものです。
が、内容が内容なので書くのをためらっていたのですけど、それでも全然構わない、という友人の声に押されて書いてしまいました。
あんな事があってもロクに気にすることなく、楊ゼンという男の恋人を作ってしまうあたりが、うちの師叔の面目躍如と言ったところでしょうか。

最近、文章の調子が悪いので、少々upまでに時間がかかってしまいましたが、でも楽しかったです。漢前でカッコいい師叔と、ろくでなしな楊ゼンラヴvv
というわけで、いつものヘタレ小説ですが感想などいただけましたら嬉しいです(^_^)

なお、今回の執筆BGMは、洋楽の新人アーティスト、ダナ・クローヴァーのファーストアルバム『testimony』がエンドレスでした。 彼女のかっちょいい歌声は、癖になります(^^)





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