月下逍遥 ─戻り来ぬ月 余話─
最初は、いつもと変わりないように見えた。
たまたまグレッグミンスター市内へ外出していた自分を迎えに来た彼は、いつもと同じ笑顔で、いつもと同じように一生懸命に話しかけてきていたから。
つい、いつもと同じ、ちょっとしたお出かけに付き合って欲しいという話かと思ったのは、少々迂闊だったかもしれないが、多分、仕方がない。
けれど。
こちらの問いかけに応じて、来訪の理由を口にした時の彼は。
───とても、とても……。
足元にできる淡い影を見て、ああ、月が昇ってきたのだな、と思った。
一歩踏み出すごとに濃さを増しつつあったはずの闇が、少し欠けた月が昇るのにつれ、逆に薄れてゆくことに、自分と同じく気付いたのだろう。
隣りを歩いていた人影が、ふっと息をついた。
「セイ?」
「いえ……。月が明るい日で良かったなぁと思って」
「今日は十六夜だからね」
「はい。もし月の出が、もっと早かったり遅かったりしたら、それこそ本当の暗闇を行くことになっちゃいましたから。さすがにそれは、まずいですよね」
さくさくと、ほんのかすかに森の土を踏む足音を響かせながら、セイは言う。
「さすがにね。グレミオも血相変えて止めるだろうし、僕もね。たとえ大丈夫だと思っても、君に怪我でもさせたらまずいから、出発は明日の朝に延期したよ。
ただでさえ、おつむの堅い軍師殿は君がちょくちょく、グレッグミンスターへ来ることをよく思ってないようだし」
「あ、でも今回、一緒に行ってもらったらどうかって言い出したのは、シュウさんですから。嫌な顔はしないと思いますよ」
「まぁ、別に嫌な顔されても、全然構わないけどね。僕は君個人に協力してるだけであって、軍師殿に協力する約束をした覚えはないから」
そう返すと、セイは困ったように笑った。
驚くほど素直な性質の彼は、表情を隠すということができない。
ゆえに、彼が隠そうと……隠したいと思っている事がある時にもまた、少し注意して見ていればすぐに知れたから。
敢えて、何気ない風を装って問いを口に上らせる。
「しかし珍しいね、シュウが僕を呼んで来いとは」
「あ、え…と……。シュウさんは呼んで来いと言ったわけじゃないですよ。僕が多分、すごく不安そうな顔をしてたから、仕方なく、じゃないかな……」
「そう? でも、ついでに利用してやれ、くらいは思っているんじゃないのかな、彼は」
「……ごめんなさい、否定できないです」
しゅん、と月明かりの下で見なくとも、セイの見えざる三角耳がしおれたのが分かり、ふと微笑ましい想いが込み上げた。
「いいよ、別に。僕の本性がどうあれ、『トランの英雄』の肩書きと存在価値は、どうしてもついて回るものなんだから。僕自身、国内にいる時には、それを利用することもあるしね。上手く使えば便利なものだよ」
「……でも、マクドールさんは、そういう肩書きを利用するの、好きではないですよね……?」
「世の中には肩書きが大好きな人間もいるけどね。ただ、たかが肩書き、の持つ力そのものは僕も否定しない。欲しがる人間の気持ちも分かる、という話」
「そう、ですね……」
うなずく横顔は、やはりいつもの彼らしくない、と思えた。
温かみのない月の光の下では、こころなしか表情が硬くこわばり、青ざめているようにさえ見えて。
「権力って、やっぱりあれば、色々な事ができますもんね。人に命令したり、裁いたり……戦争だって……」
「セイは権力が欲しい?」
「いいえ」
それは、いつもと同じような潔い即答だった。
ただ、常に比べるといくらか、語調が強かったかもしれない。
「僕は……うまく言えませんけど、怖い気がします。権力って。……多分、僕も同盟軍の軍主として、そういう力を持ってると思うんですけど。でも使いたくないです」
「──うん、そうだね」
うなずきながら、けれど、と続ける。
──今夜、セイの心中にあるものに関しては、自分を迎えに来た用件を聞いた時から既に見当がついていた。
が、だからといって、セイをこのまま、あまり彼らしくない状態にしておくのは、自分にとって楽しいことではなくて。
「でもね、セイ。権力は恐ろしいものではあるけれど、上手に使えば人を助けることもできるんだよ。たとえば、軍主の君が捕虜を殺したくないと願えば、その人を助命することもできるし、誰かに一緒に戦って欲しいと頼むこともできる。それは確かに、軍主の君が持つ『力』だろう?
そうだね、台所の包丁と一緒だと思えばいい。権力は、最初から人を殺すために作られた武器とは違う。あくまでも道具なんだ。使う人の使い方によって、人を殺す凶器にもなるし、美味しい料理で人を満たすための便利な道具にもなるんだよ」
「───…」
敢えて権力の効用を説くと、セイは物を思うような顔になり。
しばし考え込んだ後、顔を上げて、いつもと同じような明るい笑顔をこちらへと向けた。
「マクドールさんって、やっぱりすごいですね」
「何? 唐突に」
「だって、マクドールさんに説明してもらうと、シュウさんに政治の事とか教えてもらう時よりも、ずっとよく分かるんです。ああ、そういうことなんだって、僕の中にするっと入ってくるんですよ。──今もそうです。
……僕、自分でも気付かないうちに怖がってたのかな。自分ではとっくに、『同盟軍軍主』の肩書きを利用してるのに」
「納得してもらえたのは嬉しいけど、褒めても何にも出ないよ?」
「出なくていいですよー」
屈託なく笑って、セイは足を進める。
その足音すらも、一瞬前とは比べ物にならないほど快活になっているのを確認して、ようやく、どうにか大丈夫かな、と思う。
個人的な感情を抜きにしても、軍主の立場にある彼が、情緒不安定になっていることは決してよい結果を生まない。
ましてや、この先に待ち受けるもののことを思えば尚更、他者の存在なく二人きりでいられる今夜のうちに、いつもの彼に立ち戻らせておく必要があった。
「セイ」
「はい、分かってます」
あれやこれやと他愛のない話を続けながら、足を止めることなく並んで歩むうち、いつしか十六夜の月は天頂を越えて、既に通い慣れてきたバナーの峠道も半ばを過ぎた頃。
何気ない風を装って、名を呼びかけると。
また先程までとは調子の変わった声が、しかし、どこか気楽な響きで返ってくる。
──少し前から付けて来ている気配は、四つ。
こちらに気配を感じさせている時点で、どうしようもない連中だ、と判断できた。
「次の角を過ぎた辺りかな」
「そうですね、あの辺り、少し道幅が狭くなってますし、両側はこんもり木が茂ってて身を隠しやすいですし」
「無茶はしないようにね」
「……いつも、マクドールさんの方が容赦ないと思いますけど」
「おや、心外だなぁ。いつでも手加減してるよ」
「………だから、そもそもが強すぎるんですってば、マクドールさんは」
「君だって」
別に聞かれても構わないとばかりに、声をひそめるでもなく会話を続ける。
子犬じみた可愛らしい見た目に反して、案外に肝が据わっている彼の、こういう部分も自分はかなり気に入っている、と思う。
そして、峠道が急角度で湾曲している箇所を通り過ぎた地点で。
自分たちは足を止めた。
「結構な大所帯だね。……かれこれ十五人? たった二人の子供に対して大仰なことだ」
「僕たちって、そんなにお金持っているように見えますか? マクドールさんはともかく、僕、今日は二日分の御飯代しか持って来てないんですけど」
「……セイ、幾らなんでもそれは少なすぎ。もう少し、自分でもおこづかいを持ち歩きなさい」
「確かに少ないと自分でも思いますけど。でも、交易したりモンスターを倒したりすれば、すぐに財布は重くなりますし……」
「それでもね。格好がつかないから。不慮の事態が起こることだってあるんだし、そうでなくとも、出先で掘り出し物を見つけることがあるかもしれないだろう?」
「言われてみれば、そうですね。じゃあ、これからはそうします」
「うん」
のんきな会話を交わしている最中、黙れだの、見目いい子供は売り飛ばせばだのといった畜生の聞き苦しい鳴き声はしていたが、最初から耳を貸すつもりはなく。
問答無用で、自分は天牙棍を、セイは天牙双を構える。
「行きます!」
強く響くその声を合図に、地を蹴って左右へと別れ。
無力な獲物のはずの子供たちの突然の反撃に戸惑う賊を、突き、叩き伏せる。
そうする合間に、ちらりと視線を流すと、小柄な身体のどこにそんな力が秘められているのか、倍はありそうな大柄な男をまともに弾き飛ばし、一撃で昏倒させる彼の姿が映る。
彼はいつでも、こちらの技を惜しみなく賞賛してくれるが、自分としては、彼の戦い方のほうが好きだった。
己の長所と短所をよくわきまえ、一瞬で敵の長所短所を見抜いて懐に飛び込んでゆく潔さは、天性のものなのか、教練の賜物なのか。
洗練されている、という形容は似合わないが、決して荒削りではなく、十分に研ぎ澄まされて尚、まだまだ成長の余地を残している。
完成され尽くした演武のよう、と形容される自分の技とは対極に位置するものでありながら、見る者に爽快感を与える躍動美がそこにはあった。
そして、数多(あまた)の戦場を駆け抜け、常に軍の先頭に立ち続けた……、あるいは今もそこに居る己たちにとって、たかが山賊如きは何十人いようと物の数ではなく。
ほんの五分程度の時間を数える頃には、辺りは静寂を取り戻していた。
「この程度じゃ準備運動にもならないな」
「そうですね。……どうしてこの人たち、山賊なんかになったんでしょうね」
「さてね。食い詰めたのか、里で何か罪を犯したのか、もしくは生まれた時から山賊の子だったのか。理由なんてもう分かりはしないけれど、でも必ず、人を傷つけずに生きる道もどこかにあったはずだよ」
「そう、ですよね……」
少しだけ物悲しく、セイの溜息が夜の森に響く。
既に、立って呼吸をしている者は自分たちしかいない。
同盟軍軍主として、またトランの関係者として、両国を往来する旅人に危害を与える賊を見逃すわけにはいかなかったし、また、捕らえて改心するよう仕向ける手間をかけていられるほど暇でもない。
一人も逃さず、この場で討ち取るのが、今の自分たちにとっては最善にして唯一の手段だった。
「分かってるんですけど。やっぱり嫌ですね、こういうの」
物言わぬ遺骸たちを見渡してから、行きましょう、と再び、バナーの村に向かって歩き出しながらセイが言う。
感傷的になり過ぎない程度の、けれど、少しだけ沈んだ声で。
「きっとマクドールさんの時もそうだったと思うんですけど……軍を募集してると、色々な人が集まってくるじゃないですか。大抵は、都市同盟のために一緒に戦いたいと思ってくれてる人なんですけど、でも中には、そうじゃない人も居るんですよね。タダでご飯が食べられるとか、同盟軍に入ったら美味しい話にありつけそうだとか……。
僕だって、一番最初は行く所がなかったからビクトールさんにくっついていただけで、全然偉そうな事は言えないんですけど。でも、やっぱり同盟軍の名前で、よそに迷惑をかけるわけにはいかないから……」
「そうだね。乱暴狼藉を働いた兵士の処罰も、軍主の務めの一つだからね」
「ええ。僕が止めないと、もっと沢山の人が困ることになりますから。分かってるんですけど……、どうしてこの人はこんな事するんだろう、と思っちゃうんですよね。その人の人生とか、気持ちとか、本人にしか分からないのに、そう思うのは傲慢だと思うんですけど」
「それは、傲慢、ではないと思うけど」
「そうですか?」
「うん。僕は、セイが腹を立てるのは何も間違ってないと思うよ。世の中には、どんなに辛い目に遭っても、他人は傷つけないように頑張って生きている人もいるんだから。他人に当たるしかないくらい、それまでに辛い思いをしていたとしても、罪は罪だ。
もちろん、世の中は善悪だけで分けられるものではないし、やむを得ない罪というものもあるけれどね」
「やむを得ない罪、ですか?」
「たとえば貧しい父親が、家で飢えて泣いている子供のためにパンを盗むのと、同盟軍の威を借りて、民間人に乱暴を働くのは全然違うだろう?
世の中には同情すべき罪も確かにあるけれど、絶対にしてはならない事をした人間に対して怒りを覚えるのは、何も間違ってない。ましてやセイは、そういった輩を裁く立場にあるわけだし。気分が良くなくて当然じゃないかな」
溜息混じりに紡がれる優しい言葉を聞きながら、少しだけ、発言に訂正を加える。
本当に良くも悪くも、普通に育った彼は、時として考えすぎることがある。
それは人として非常に尊いことではあるけれど、軍主としての立場を思えば、彼を苦しめる足枷にしかなりはしない。
彼の性格が変わることを望んでいるわけでは決してないが、減らすことの可能な負担であれば、少しでもそれを軽くしてやりたかった。
と、考える風だった彼が、顔を上げて。
「──やっぱり優しいなぁ……」
「え?」
ふわりと呟くように言われた言葉を、一瞬、捉えることができなかった。
「マクドールさんが。優しいなぁと思って」
「僕が?」
「はい。僕は無理なことばかり、お願いしてるのに、マクドールさんはいつも励ましてくれるし、僕にも分かるように色々なこと教えてくれますし。お迎えを断られたことだって一度もないですよ。今回だって、全然関係のないミューズとの和平交渉なのに……」
「関係なくはないよ。トランは同盟軍を支援しているんだし」
「でも、マクドールさん個人には関係ないじゃないですか」
「だから、あるでしょ? 君に協力すると約束したんだから。僕は約束は守るよ」
そう言うと、セイは小さく破願した。
「そういうところが、優しいなぁって思うんですよ。僕を助けてくれても、ちっとも良い事なんかないのに。お給金を払ってるわけでもないし、掛け値なしのタダ働きじゃないですか」
「それは心外。良い事はあるよ、たくさん。金銭なんて問題じゃない」
「そうですか?」
「……信じてないね、セイ」
くすくすと笑う彼を軽くねめつけながら、けれど、内心でいつもの笑顔に安堵する。
暗い顔や不安な顔は、決して似合わない彼だから。
たとえ不可能な話だと分かっていても、できる限り、明るい顔でいられるようにしてあげたい、と思う。
──何の裏も表もなく、この自分を『優しい』と。
そんな、誰よりも優しい言葉を言ってくれる、セイだからこそ。
「さて、そろそろバナーだけど……。さすがにまだ、船は出てないだろうなぁ」
「ちょっと早すぎますからねえ。魚もまだ寝てると思いますよ」
「仕方ないね。この辺で少し休んでいこうか。平和に眠っている村人を叩き起こさなけりゃならないほど、焦っているわけではないし」
「そうですね。──本当は夜にはお城に戻ってるはずでしたから、シュウさんは怒ってるかもしれないですけど」
「でも、昼前にラダトに着いても、明日の会談には十分、間に合うしね。どうせ軍師殿も、明日の早朝にデュナン湖を渡る予定でいるんじゃないかな」
「多分、そうだと思います。じゃ、休憩しましょうか」
「うん。ラダトからは馬だしね。僕にしてもセイにしても、まだ若いし徹夜してもどうということはないけど、休める時に休んでおいた方が良いのは事実だから」
「はい」
話しながら、薪になりそうな枯れ枝や枯葉を両手一杯分ずつ集めて、彼の持っている火打石で火をつける。
「……この火打石、ビクトールさんと出会ったばかりの傭兵砦で、もらったんですよ」
地面に腰を下ろし、小さく炎を上げ始めた薪を見つめながら、まるで遠い昔を懐かしむような口調で、彼は話し始めた。
「あそこでもバーバラさんが倉庫番をしてて、僕はその時、捕虜だったと思うんですけど、何だか毎日、牢から出されて色々な雑用をしてて。どうしてだか、捕虜なのにリューベの村までおつかいにも行ったんですよ」
「それは……捕虜って言わないんじゃ?」
「ですよね。で、僕の見張りというか世話係にポールさんて人がいて……優しいお兄ちゃんみたいな感じの人で、その後直ぐにルカ・ブライトに殺されちゃったんですけど……。
そのポールさんに用事が終わったら牢に戻ってろよ、って言われて、本当に戻ってたら御飯持ってきてくれて。頑張ったから、大盛りにしといてもらったからな、って毎日」
「……何というか……。新入り用の部屋が足りないから、牢を臨時の部屋にしてる感じだね、それは」
「はい。なんか変な感じだなぁとは僕も思ったんですけど、でも御飯美味しかったし、皆、すごく親切にしてくれましたし。
それで、この火打石も、火打石とブーツを取ってくるように言われて、バーバラさんに倉庫から出してもらったんですけど、火打石が一個要らなくて余ったんです。どうしようかと思って倉庫に返しに行ったら、それくらい、駄賃としてもらっておきなって……」
いつでも、どこにでも、自分に優しくしてくれた人は居るのだと。
その声は、まるで彼自身に確認しているようでもあって。
「……セイ」
「はい?」
「今は、僕が傍に居るから」
そっと語りかける。
まっすぐに違えず、彼に届くように。
「だから大丈夫だとは言わないけれど、僕が傍に居る分だけは安心していいから。今は、君が大切だと思うものの事だけを考えればいい。沢山のものがある中から一番大切なものを選ぶことも、それを守り通すことも、とても難しいことだから。……君だけじゃない。僕も散々悩んだし、迷ったよ」
「……はい」
じっと炎越しにこちらを見上げて、聞いていた彼は、静かにうなずく。
それきり、沈黙が満ちて。
ゆっくりと立ち上がり、炎を見つめている彼の隣に座り直した。
「マクドールさん?」
「まだ時間はあるから、横になるといい。眠れないだろうけれど、身体を伸ばして目を閉じているだけでも違うから」
「……はい」
「ああ、違う。頭はこっち」
素直に横になりかけた軽い身体をひょいと動かし、こちらの脚に頭を載せさせる。
と、見開いた大きな瞳が、傾きかけた月明かりの下でまばたいた。
「あの……」
「この方が楽だろう? いいから目を閉じておいで」
有無を言わせずに、額から瞼へと手袋を外した手で優しく撫で下ろし、目を閉じさせて。
そして、やわらかな髪をゆっくりと梳いた。
「あと一刻もすれば夜が明けるから。それまで、ね」
「……でも、マクドールさんは……?」
「僕は平気だよ。でも君は一日で、バナーの峠道を往復したんだし」
「それって、いつもの事なんですけど……」
「いいから。もう黙りなさい」
「…………」
不服というより、こちらの言い分に納得がゆかなさそうな様子ではあったけれども、軽い口調で告げた命令に彼は静かになる。
けれど、眠っているわけではない彼の頭を、自分もまた沈黙してゆっくりと撫で続ける。
──本当にらしくない、と。
心の中で苦笑するように、自分でも思いながら。
そして、生い茂る木々の向こうに見える、少しだけ欠けた白い月を見上げて。
森の鳥たちが目覚め、さえずりが響き始めるのを、しばしの刻、待った。
End.
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