四十八手 しじゅうはって
本来は、相撲の勝ち手技のことであるが、転じて性行為の体位をいう。なお、性交体位そのものばかりでなく、前戯・後戯をも含んでいる。
日本の四十八手は浮世絵師・菱川師宣が考案したものが元である。(浮世絵師というのは春画も手掛けているのが普通で、菱川師宣が書いた春画も現代まで数多く残っている。興味のある方は、図書館へ行き「浮世絵」で検索してみるといい。もっとも当時の春画というのは、性交の様子がリアルにかかれているが色っぽさはなく、女性が見て楽しいものではないことをお断りしておく)
しかし、四十八手以外にも体位を分類したものは古今東西に多くあり、古代中国の『素女経』は9型、古代インドの『カーマ=スートラ』は25型、高橋鐡(たかはしてつ)氏の『あるす=あまとりあ』(河出文庫刊)は65型に分けている。
で、解説の前に、まずは基本的な体位分類の一覧表をあげる。
男性上位 | 女性上位 | 臥位 | 座位 | 立位 | |
前向位 | 男上前位 | 女上前位 | 前臥位 | 前座位 | 前立位 |
背向位 | 男上背位 | 女上背位 | 背臥位 | 背座位 | 背立位 |
特殊位 | 斜横位 | 逆角位 | その他の愛戯 |
1 本間取り | 2 きぬかつぎ | 3 片掛け | 4 足かかえ |
5 昇りかけ | 6 とんぼつり | 7 四つからみ | 8 磯の波枕 |
9 小股ばさみ | 10 坐り茶臼 | 11 茶臼からみ | 12 肩透かし |
13 向こう突き | 14 本茶臼 | 15 腹やぐら | 16 釣り橋 |
17 片手先筈掛け | 18 茶臼伸ばし | 19 本平やぐら | 20 帆立貝 |
21 かけくずれ | 22 後ろ並び | 23 窓の月 | 24 鴨の羽返し |
25 逆とったり | 26 矢筈掛け | 27 根腰 | 28 二本づめ |
29 鴨の入首 | 30 後ろ茶臼 | 31 つき廻し | 32 敷き小股 |
33 手車 | 34 かかえあげ | 35 種子島 | 36 掬い上げ |
37 後ろ櫓 | 38 逆手がらみ | 39 逆手四つ | 40 淀の水車 |
41 逆の浮橋 | 42 とまり蝉 | 43 鯉の滝昇り | 44 千鳥の曲 |
45 片男波 | 46 巴取り | 47 逆巴 | 48 二丁だて |
四十八手 その1.男上前位
なんだか分かりにくいが、要するにいわゆる正常位である。女性が仰向けに寝て、男性が上に覆いかぶさる形。一般的な体位である分、バリエーションも最も多い。
※体位の前の番号は、四十八手における番付
1.本間取り(別名:差し向かい、前どり)
女性が膝を軽く曲げて脚を開き、男性は膝と肘を床について挿入する。
実は、男性が女性を組み敷くこの形は、古代にはなかった体位である。とはいえ、結合に無理はなく、手や口での愛撫も自由に加えることができて性感度も高い。
8.磯の波枕
互いに両手を相手の肩に回して、身体を密着させる正常位の変形。
新婚向きと書いてあったりするが、要は結合感が高く、女性の胸を愛撫しやすい体位である。
7.四つからみ(別名:四つ手からみ)
女性の両脚が男性の腰に、両手が男性の背に絡んだ形。正常位の変形。
密着度が最も高く、互いの動きで性感を高めることができる。が、何故か日本人独特の体位らしい。
9.小股ばさみ(別名:外がけ)
四つからみから変形して、女性が両脚を伸ばした態勢で挿入する伸展位。
やや結合しにくいので、腰枕(枕等を使って女性の腰を高く上げること。挿入がしやすくなる)を使うと、より効果的。
4.足かかえ
いわゆる屈曲位。女性の両脚を、踵が太腿につくくらい深く折り曲げて挿入する。
俗に海老責めなどと呼ばれる。どちらにも刺激は大きいが、女性がやや苦しい態勢である。
6.とんぼつり(別名:脚からみ)
屈曲位の完成された形。女性の両脚が男性の背中に絡んだ形となる。
やや無理な体勢で、女性の身体が柔軟でないと苦しい。
2.きぬかつぎ(別名:肩車)
女性の両脚を男性の肩に載せた形で挿入する、屈曲位の変形。
刺激が大きく、また男性への締めつけも強い体位である。
5.昇りかけ
きぬかつぎの変形で、男性は中腰になる。
挿入は深く完全になり、刺激も強いが、その分疲労度も大きい。
3.片かけ
女性の片脚を男性の肩に載せる、屈曲位の変形。
きぬかつぎより楽。しかし男性と女性の上半身が離れるので、密着度はやや低くなる。
四十八手における正常位は以上だが、他にも、どちらも脚を伸ばした状態で挿入する双伸位の「筏くずし」、座った男性が、横たわった女性の下半身を膝の上に抱き上げて結合する「抱え込み」、女性はベッドの端から脚を垂らす形で横たわり、男性は床に立ったまま挿入する「海鴎翔」など、様々な体位がある。
大人の玩具 おとなのおもちゃ
通常は、性的玩具の意味。SMの場合は、責め具とも呼ばれる。
実のところ、この手のブツの歴史は古くて、奈良時代の宮城跡のゴミ捨て場から、張り型が出てきたという記録さえある。時代が下り、江戸時代に入ると四ツ目屋という屋号の店が、これらの品々を一手に扱うようになり、四ツ目屋=性的玩具の意味だった。
(江戸時代の玩具については、光文社時代小説文庫の『妖し小町・おぼろ隠密記』(六道慧 全5巻)に詳しく出てくる。この作品はストーリーもそれなりに面白いし、作者が女性なため、表現があまり直接的でなく女性が読んでも楽しめるので、興味がある方はどうぞ。ついでに皇名月さんのカバーイラストもメチャ綺麗)
現代では、色々バリエーションもあるが、まぁ大雑把な分類だけを紹介。詳しく知りたい方は、「大人の玩具」でネット検索するか、レディース雑誌掲載の広告でも見れば、写真付で解説されている。
まずは、バイブレーター。略してバイブ。和風に言えば、張り型。
要は男性のブツを模した玩具。古くは木製、江戸時代の超高級品は薄くした鼈甲製(温めるとちょうどシリコンのように軟らかくなる)、現在はシリコン、またはゴム製。
乾電池使用もしくは充電型の電動式(振動+くねり)のものをバイブ、動かない形だけのものを張り型と名称を使い分けるのが普通。
形やサイズ、性能は、非常にバリエーションが豊富である。防水タイプなどもあり、電動式の高級品はIC内蔵で動きも複雑。スイッチが本体と別のリモコン式もあるが、通常のものに比べると高価。
次は、ピンクローター。略してローター。
これは、小型のバイブのようなもの。ただし、せいぜい数cmの大きさで、楕円球形のものが主流。
大抵は、本体が乾電池式(リモコン式のものもある)で、ローターとはコードで繋がれており、1つないしは2つのローターが細かい振動をする。比較的安価で、サイズ的にも機能的にも、どちらかというと前戯向けの玩具である。
ローション&ジェル。和風に言えば、潤滑液。
まぁそのまんま。かなり粘度の高い、乾きにくい潤滑液で、前戯用にも本番用にも使用できる。これそのものには、催淫効果はないものがほとんど。使用後は、簡単に洗い流せる。
風俗店での性感マッサージ、ボディマッサージというのは、これを利用した風俗嬢による全身でのマッサージのことである。
媚薬。催淫薬、性感クリーム、催淫ドリンク等、種類呼称は様々。
大きく、服用飲用するタイプと、直接塗るタイプに分かれる。
効き目はそれぞれ微妙に異なるが、性感帯の血液流量を増幅し、感度を高めるタイプと、快楽中枢に直接作用するタイプ、その複合タイプがある。いずれにせよ、複数の同時使用や、心臓に疾患を持つ人の使用は危険。
快楽中枢に作用するタイプは、いわば麻薬と似た働きをするため、市販されているのは海外で認可された輸入物が多い。商品名で言うなら、エクスタシー、マジックマッシュルーム等、合法ドラッグと称しているものが、これに当たる。
以上、基本中の基本を列挙。他にも、ピアス・クリップ・数珠など多種多様の玩具があるが、もっと知りたい方は、ネット検索へGO。
(但し、アダルト関係のネット検索は、ワクチンソフトをタスク常駐した状態で、あまり深いリンクに進まず、表面を見るだけにしておくのが無難。女性専科のリングもあるが、実際にサイト運営者が女性かどうかを確かめる術はないし、安全性の定かではないサイトもあるので、きちんと警戒して、自分で自分を守るように)
絶倫 ぜつりん
性的な意味で使う時は、『精力絶倫』の略。
とりあえず基本の単語ということで、辞書で『絶倫』を引いてみたところ、新明解国語辞典には「才幹が普通の人の水準から飛び抜けてすぐれている様子」とあった。
更に漢和辞典を調べると、『絶』には「はなはだしく、非常に」という意味があり、『絶倫』は「人並みはずれること、非常にすぐれていること」。
対して、『倫』は「同類」「順序」「筋道」という固い意味ばかりである。ただ、『倫類』という熟語には「仲間」とか「人間」という意味もあるので、それから考えると、『絶倫』は単に「非常にすぐれた人」ということらしい。
次いで、『精力』だが、国語辞典は「仕事を次々と為し遂げてゆき、疲れを知らない活力」と説明。
『精』という漢字には「まじりけない」「すぐれている」「奥深い」「美しい」「あきらか」「神」など他にも色々な意味があるのだが、しかし、この場合には「生命のもと」という意味が一番似合うだろう。
以上、色々辞書を引いてみたが、男性の場合、精=性に通じるような気がするので、『精力』はそのまま『性力』と言い換えてもいいんじゃないかと思う。(いや、良くないが。日本語は正しく使うべし)
結論として、『精力絶倫』は「人並みはずれた、疲れ知らずのすごい奴」が正しい解釈の気がする私である。
ヌカ六 ぬかろく
「抜かずの六回」の意味だが、実際にそれだけできる男はいないということで、単に精力絶倫のこと。類語に『ヌカ二』『ヌカ三』があるが、これは具体的な回数の描写である。
辞典には「実際には不可能な数字」とあったが、私は読んだ途端に「楊ゼンなら簡単にできる!!」と断言し、爆笑しながら友人に楽しい単語の発見を報告した。
ちなみに、表(男の子師叔)の場合、楊ゼン1回につき師叔3回が私の相場である。裏(女の子師叔)の場合、女性の方が連続して達きやすいということで、更に倍が相場。
いずれにせよ、楊ゼンは絶倫テクニシャンである。
抜く ぬく
まさかこの意味が分からないお嬢さんがいるとは思わないが・・・。上を書いた時、ふと不安になったので蛇足的に。
@性的な意味で使う時は、男性の射精を意味する。溜まっている精を抜く、という意味。
「一発抜く」というように使う。どちらかというと、性交そのものよりは単に射精することのみを指す言葉。
A挿入したブツを抜くこと。上記の『ヌカ六』の「抜かず」はこの意味で、射精後も抜かずに(=休息なしで)、連続して6回性交を行うということ。人間技ではない、と思う。