◆ 裏的用語解説講座 ◆




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◆ 新語紹介 ◆

 四十八手 しじゅうはって

本来は、相撲の勝ち手技のことであるが、転じて性行為の体位をいう。なお、性交体位そのものばかりでなく、前戯・後戯をも含んでいる。

日本の四十八手は浮世絵師・菱川師宣が考案したものが元である。(浮世絵師というのは春画も手掛けているのが普通で、菱川師宣が書いた春画も現代まで数多く残っている。興味のある方は、図書館へ行き「浮世絵」で検索してみるといい。もっとも当時の春画というのは、性交の様子がリアルにかかれているが色っぽさはなく、女性が見て楽しいものではないことをお断りしておく)
しかし、四十八手以外にも体位を分類したものは古今東西に多くあり、古代中国の『素女経』は9型、古代インドの『カーマ=スートラ』は25型、高橋鐡(たかはしてつ)氏の『あるす=あまとりあ』(河出文庫刊)は65型に分けている。

で、解説の前に、まずは基本的な体位分類の一覧表をあげる。

男性上位女性上位臥位座位立位
前向位男上前位女上前位前臥位前座位前立位
背向位男上背位女上背位背臥位背座位背立位
特殊位斜横位 逆角位その他の愛戯

大体の位置関係は字面を見れば想像がつくと思うが、どんな分類であれ、基本的にはどれもこの一覧の中のいずれかに属する。更に、これらはバリエーションによってより細分され分類されることになる。

次に四十八手の一覧をあげる。

1 本間取り2 きぬかつぎ3 片掛け4 足かかえ
5 昇りかけ6 とんぼつり7 四つからみ8 磯の波枕
9 小股ばさみ10 坐り茶臼11 茶臼からみ12 肩透かし
13 向こう突き14 本茶臼15 腹やぐら16 釣り橋
17 片手先筈掛け18 茶臼伸ばし19 本平やぐら20 帆立貝
21 かけくずれ22 後ろ並び23 窓の月24 鴨の羽返し
25 逆とったり26 矢筈掛け27 根腰28 二本づめ
29 鴨の入首30 後ろ茶臼31 つき廻し32 敷き小股
33 手車34 かかえあげ35 種子島36 掬い上げ
37 後ろ櫓38 逆手がらみ39 逆手四つ40 淀の水車
41 逆の浮橋42 とまり蝉43 鯉の滝昇り44 千鳥の曲
45 片男波46 巴取り47 逆巴48 二丁だて

以上だが、四十八手というのは固定しているものではなく、出典によって様々に変化する上、同じ名前でも異なる体位ということがよくある。だから、あくまでも一例として参考にしていただきたい。

四十八手は1番から48番までの番付がされており、本来ならその番号順に解説するべきなのだが、何分、イラスト無しの文章だけの解説であるため、多少でも分かりやすくするために、上記の13種類の分類順で解説していく予定である。

なお、当方の参考資料は小松奎文編集『改訂版 いろの辞典』(文芸社 2500円)であることを明記しておく。

 四十八手  その1.男上前位

なんだか分かりにくいが、要するにいわゆる正常位である。女性が仰向けに寝て、男性が上に覆いかぶさる形。一般的な体位である分、バリエーションも最も多い。
※体位の前の番号は、四十八手における番付

1.本間取り(別名:差し向かい、前どり)
女性が膝を軽く曲げて脚を開き、男性は膝と肘を床について挿入する。
実は、男性が女性を組み敷くこの形は、古代にはなかった体位である。とはいえ、結合に無理はなく、手や口での愛撫も自由に加えることができて性感度も高い。

8.磯の波枕
互いに両手を相手の肩に回して、身体を密着させる正常位の変形。
新婚向きと書いてあったりするが、要は結合感が高く、女性の胸を愛撫しやすい体位である。

7.四つからみ(別名:四つ手からみ)
女性の両脚が男性の腰に、両手が男性の背に絡んだ形。正常位の変形。
密着度が最も高く、互いの動きで性感を高めることができる。が、何故か日本人独特の体位らしい。

9.小股ばさみ(別名:外がけ)
四つからみから変形して、女性が両脚を伸ばした態勢で挿入する伸展位。
やや結合しにくいので、腰枕(枕等を使って女性の腰を高く上げること。挿入がしやすくなる)を使うと、より効果的。

4.足かかえ
いわゆる屈曲位。女性の両脚を、踵が太腿につくくらい深く折り曲げて挿入する。
俗に海老責めなどと呼ばれる。どちらにも刺激は大きいが、女性がやや苦しい態勢である。

6.とんぼつり(別名:脚からみ)
屈曲位の完成された形。女性の両脚が男性の背中に絡んだ形となる。
やや無理な体勢で、女性の身体が柔軟でないと苦しい。

2.きぬかつぎ(別名:肩車)
女性の両脚を男性の肩に載せた形で挿入する、屈曲位の変形。
刺激が大きく、また男性への締めつけも強い体位である。

5.昇りかけ
きぬかつぎの変形で、男性は中腰になる。
挿入は深く完全になり、刺激も強いが、その分疲労度も大きい。

3.片かけ
女性の片脚を男性の肩に載せる、屈曲位の変形。
きぬかつぎより楽。しかし男性と女性の上半身が離れるので、密着度はやや低くなる。

四十八手における正常位は以上だが、他にも、どちらも脚を伸ばした状態で挿入する双伸位の「筏くずし」、座った男性が、横たわった女性の下半身を膝の上に抱き上げて結合する「抱え込み」、女性はベッドの端から脚を垂らす形で横たわり、男性は床に立ったまま挿入する「海鴎翔」など、様々な体位がある。

 大人の玩具 おとなのおもちゃ

通常は、性的玩具の意味。SMの場合は、責め具とも呼ばれる。
実のところ、この手のブツの歴史は古くて、奈良時代の宮城跡のゴミ捨て場から、張り型が出てきたという記録さえある。時代が下り、江戸時代に入ると四ツ目屋という屋号の店が、これらの品々を一手に扱うようになり、四ツ目屋=性的玩具の意味だった。
(江戸時代の玩具については、光文社時代小説文庫の『妖し小町・おぼろ隠密記』(六道慧 全5巻)に詳しく出てくる。この作品はストーリーもそれなりに面白いし、作者が女性なため、表現があまり直接的でなく女性が読んでも楽しめるので、興味がある方はどうぞ。ついでに皇名月さんのカバーイラストもメチャ綺麗)

現代では、色々バリエーションもあるが、まぁ大雑把な分類だけを紹介。詳しく知りたい方は、「大人の玩具」でネット検索するか、レディース雑誌掲載の広告でも見れば、写真付で解説されている。

まずは、バイブレーター。略してバイブ。和風に言えば、張り型。
要は男性のブツを模した玩具。古くは木製、江戸時代の超高級品は薄くした鼈甲製(温めるとちょうどシリコンのように軟らかくなる)、現在はシリコン、またはゴム製。
乾電池使用もしくは充電型の電動式(振動+くねり)のものをバイブ、動かない形だけのものを張り型と名称を使い分けるのが普通。
形やサイズ、性能は、非常にバリエーションが豊富である。防水タイプなどもあり、電動式の高級品はIC内蔵で動きも複雑。スイッチが本体と別のリモコン式もあるが、通常のものに比べると高価。

次は、ピンクローター。略してローター。
これは、小型のバイブのようなもの。ただし、せいぜい数cmの大きさで、楕円球形のものが主流。
大抵は、本体が乾電池式(リモコン式のものもある)で、ローターとはコードで繋がれており、1つないしは2つのローターが細かい振動をする。比較的安価で、サイズ的にも機能的にも、どちらかというと前戯向けの玩具である。

ローション&ジェル。和風に言えば、潤滑液。
まぁそのまんま。かなり粘度の高い、乾きにくい潤滑液で、前戯用にも本番用にも使用できる。これそのものには、催淫効果はないものがほとんど。使用後は、簡単に洗い流せる。
風俗店での性感マッサージ、ボディマッサージというのは、これを利用した風俗嬢による全身でのマッサージのことである。

媚薬。催淫薬、性感クリーム、催淫ドリンク等、種類呼称は様々。
大きく、服用飲用するタイプと、直接塗るタイプに分かれる。
効き目はそれぞれ微妙に異なるが、性感帯の血液流量を増幅し、感度を高めるタイプと、快楽中枢に直接作用するタイプ、その複合タイプがある。いずれにせよ、複数の同時使用や、心臓に疾患を持つ人の使用は危険。
快楽中枢に作用するタイプは、いわば麻薬と似た働きをするため、市販されているのは海外で認可された輸入物が多い。商品名で言うなら、エクスタシー、マジックマッシュルーム等、合法ドラッグと称しているものが、これに当たる。

以上、基本中の基本を列挙。他にも、ピアス・クリップ・数珠など多種多様の玩具があるが、もっと知りたい方は、ネット検索へGO。
(但し、アダルト関係のネット検索は、ワクチンソフトをタスク常駐した状態で、あまり深いリンクに進まず、表面を見るだけにしておくのが無難。女性専科のリングもあるが、実際にサイト運営者が女性かどうかを確かめる術はないし、安全性の定かではないサイトもあるので、きちんと警戒して、自分で自分を守るように)

 絶倫 ぜつりん

性的な意味で使う時は、『精力絶倫』の略。
とりあえず基本の単語ということで、辞書で『絶倫』を引いてみたところ、新明解国語辞典には「才幹が普通の人の水準から飛び抜けてすぐれている様子」とあった。
更に漢和辞典を調べると、『絶』には「はなはだしく、非常に」という意味があり、『絶倫』は「人並みはずれること、非常にすぐれていること」。
対して、『倫』は「同類」「順序」「筋道」という固い意味ばかりである。ただ、『倫類』という熟語には「仲間」とか「人間」という意味もあるので、それから考えると、『絶倫』は単に「非常にすぐれた人」ということらしい。

次いで、『精力』だが、国語辞典は「仕事を次々と為し遂げてゆき、疲れを知らない活力」と説明。
『精』という漢字には「まじりけない」「すぐれている」「奥深い」「美しい」「あきらか」「神」など他にも色々な意味があるのだが、しかし、この場合には「生命のもと」という意味が一番似合うだろう。

以上、色々辞書を引いてみたが、男性の場合、精=性に通じるような気がするので、『精力』はそのまま『性力』と言い換えてもいいんじゃないかと思う。(いや、良くないが。日本語は正しく使うべし)
結論として、『精力絶倫』は「人並みはずれた、疲れ知らずのすごい奴」が正しい解釈の気がする私である。

 ヌカ六 ぬかろく

「抜かずの六回」の意味だが、実際にそれだけできる男はいないということで、単に精力絶倫のこと。類語に『ヌカ二』『ヌカ三』があるが、これは具体的な回数の描写である。
辞典には「実際には不可能な数字」とあったが、私は読んだ途端に「楊ゼンなら簡単にできる!!」と断言し、爆笑しながら友人に楽しい単語の発見を報告した。
ちなみに、表(男の子師叔)の場合、楊ゼン1回につき師叔3回が私の相場である。裏(女の子師叔)の場合、女性の方が連続して達きやすいということで、更に倍が相場。
いずれにせよ、楊ゼンは絶倫テクニシャンである。

 抜く ぬく

まさかこの意味が分からないお嬢さんがいるとは思わないが・・・。上を書いた時、ふと不安になったので蛇足的に。
@性的な意味で使う時は、男性の射精を意味する。溜まっている精を抜く、という意味。
「一発抜く」というように使う。どちらかというと、性交そのものよりは単に射精することのみを指す言葉。
A挿入したブツを抜くこと。上記の『ヌカ六』の「抜かず」はこの意味で、射精後も抜かずに(=休息なしで)、連続して6回性交を行うということ。人間技ではない、と思う。